座長の言葉
日本においてTAVIが保険償還下で行われるようになって4年が経とうとしている。
累積症例数も8000を超え、日本人に対するTAVIの特徴も明らかになってきた。
世界に比べても良好な成績が報告されており、本邦においてもTAVIは、特に経験豊富な施設においては、すでに成熟した手技となりつつある。
今年のヨーロッパ心臓病学会(ESC)で発表された弁膜症のガイドラインでは、外科手術リスクの高い(ここではSTSあるいはEuroSCORE II>4%と定義)患者において、経大腿動脈アプローチが可能であれば、75歳以上はTAVIが望ましい治療法と明記されている(Class I)。本ガイドラインにおいても強調されているが、重要なことはこれらの決定がハートチームでなされることである。
アメリカのガイドラインにおいても、中等度リスクの患者においてTAVIはClass IIaに位置づけられており、これらを直ちに日本に適応できるものではないものの、各ハートチームで十分議論しておくべき内容と考えられる。
本セッションでは、TAVIにおける臨床上極めて重要な問題として、「血栓弁」、「透析患者へのTAVI」、「low-intermediate risk患者へのTAVI」について、大いに議論したい。