第2回ストラクチャークラブジャパンfocus ASD/PFO プログラムと抄録集のご案内

来る2018年5月26日土曜日開催の第2回ストラクチャークラブジャパンfocus ASD/PFOのプログラムが決定いたしましたので、お知らせいたします。
また、抄録集も掲載いたしましたので是非ご覧ください。

日時2018年5月26日(土) 14:30-18:00
場所TKP品川カンファレンスセンター バンケットホール8F
〒108-0074
東京都港区高輪3丁目26番33号
京急第10ビル
会費医師・企業:2,000円
コメディカル:1,000円

プログラム

画像をクリックするとPDFをダウンロードできます。

抄録集

【第1部】治療できませんでした、どうすればよかったのでしょう?

Case 1「FSO 36mmがLA roofに接触しdeferした1例」

三浦 光太郎(慶應義塾大学医学部循環器内科)、
金澤 英明、鶴田 ひかる、板橋 裕史、荒井 隆秀、川上 崇史、湯浅 慎介、林田 健太郎、福田 恵一

症例は79歳女性。前医で術前精査の胸部X線で心拡大と心電図で心房粗動を認めた。経胸壁心エコーでASDを認め、まずは心房粗動に対するアブレーション治療を試みたが治療不成功で終了し、ASD治療目的に当院紹介となった。当院の経食道心エコーでは右心系拡張を伴うlarge ASDであり、3D解析では32.7mm×23.2mmの欠損孔を認めた。局所麻酔を使用しICEガイド下で治療開始した。FSO 36mmを留置試みたところ、ICEで左房diskがLA roof に接触しdeviceが台形状に変形していため、erosion riskが高いと判断し最終的にdeferした。Aortic, Superior rim欠損を伴うlarge ASDであり、サイズ選択に難渋した症例のため今回報告させていただく。

Case 2「多孔性心房中隔欠損症に対して紐切断をしてデバイス閉鎖を試みた一例」

橋本 剛(東邦大学医療センター大橋病院)
原 英彦、井出 志穂、葉山 裕真、牧野 健治、高亀 則博、
福井 遼、武中 宏樹、飯島 雷輔、諸井 雅男、中村 正人

症例は60歳代女性。2次孔欠損型ASD、肺高血圧症を認めた。経食道心エコー図検査施行したところ多孔性のASDを認め、二つの欠損孔の間には細い紐状構造物があった。経皮的ASD閉鎖術施行したがデバイス留置による周囲構造への干渉があり中止となった。患者の強い希望により再度経皮的ASD閉鎖術を施行した。今度は紐状構造物をワイヤーで切断し、二つの孔をつなげたうえでデバイス閉鎖を試みた。貴重な症例を経験したので報告する。

【第2部】デバイスの種類・サイズって悩みますよね?

Case 3「胸郭異常により右左短絡を呈した心房中隔欠損症で、mitral valveへの干渉により、OFFⅡのサイズダウンを要した一例」

福井 重文(国立循環器病研究センター心臓血管内科部門・小児循環器科)、
浅野 遼太郎、長谷川 拓也、西井 達也、小永井 奈緒、石井 俊輔、
平川 今日子、藤本 一途、北野 正尚、上田 仁、辻 明宏、大郷 剛、安田 聡

39歳女性。口唇チアノーゼと体勢変換に伴う低酸素血症(立位SpO2 79%, 臥位SpO2 94%)を認め、在宅酸素療法(HOT)を要していた。外見上、扁平胸郭と側湾症を呈し、胸部レントゲン側面像ではそれらにより狭小化した胸郭で心臓が前後方向に圧迫され、立位で顕著であった。TEEでは、長径15mm程度の三日月状のASDを認め、下大静脈(IVC)縁からEustachian弁が目立ち、ASDを介して有意な右左短絡を認めた。MDCTでは、胸骨と椎体の圧迫により中隔が偏位し、ASDがIVC方向に開存し、IVC血流がASDを介して左房側に流入していた。 Stop-flowでのサイジングが19-20mmであり、malalignmentのある症例のため、大きめの24mmOFFIIを留置したが、LA discによるmitral valveへの干渉があり、21mmにサイズダウンした。結果、右左短絡は消失し、症状は改善し、HOTから離脱出来た。サイズダウンが必要であったかどうか議論したい。

Case 4「ASDパッチ閉鎖後leakに対して経カテーテル閉鎖術を施行した一例」

福田 信之(富山大学循環器センター)、
上野 博志

症例は80歳女性。33歳時に二次孔型ASDの手術的適応と診断され、開胸によるパッチ閉鎖術を施行された。2007年徐脈頻脈症候群と診断され、ペースメーカ植込み術を施行された際にASD術後のleakを指摘されたが、再手術を拒否され経過観察となった。2016年頃から軽労作で息切れを自覚するようになり、当科紹介入院となった。Qp/Qs 2.31、PVR 2.3woods単位でありASD閉鎖術適応と診断されたが、再開胸は拒否されカテーテルによる閉鎖術を希望された。孔は7.6×22.6mmと楕円形態であり、rimは全周性に5mm以上を有したがIVC側は5.5mmでfloppy rimであった。balloon sizing径は16×21.6mmであった。パッチleakに対するASDカテーテル閉鎖の報告は少なく、デバイス選択などの治療strategyに関して検討していきたい。

Case 5「Sizing balloonにてstop flowを得られなかったASDに対し、Figulla36ミリを留置した1例」

中澤 学(東海大学)
村上 力、堀之内 仁美、大野 洋平、伊苅 裕二

5年前にASDを指摘されていたが、medical followとなっていた81歳女性。6か月前に初回心不全にて入院となり、カテーテル閉鎖術目的に紹介となった。TEEにて、心房中隔欠損孔の最大径は26.9mm、Ao rimは3.6mm、IVC rimは9.2mmであったがfloppyな所見であった。術中のsizing balloonを用いた測定を試みたが、balloon occlusionを最大に行ってもIVC rim側のflowが認められ、stop flowが得られなかった。このためにAmplatzer 38mmの留置を試みたが、左房側のdiskの収まりが悪いこともあり、Figulla 36mmに変更し留置に成功した。

術中sizing balloon 透視

術中 sizing balloon TEE

術後 CT

【第3部】今年もPFO!

Special Lecture 「Device閉鎖を意識したPFO解剖の基礎知識」

原 英彦(東邦大学医療センター大橋病院)

Case 6「奇異性脳塞栓合併の卵円孔開存の一例」

伊吹 圭二郎(昭和大学病院 小児循環器成人先天性心疾患センター)、
藤井隆成、長岡孝太、山口英貴、清水武、籏義仁、樽井俊、宮原義典、石野幸三、富田英

66歳男性、4回の脳梗塞の既往あり。前医で卵円孔開存を指摘され、奇異性脳塞栓の診断で、卵円孔閉鎖を勧められて当院に紹介となった。経食道超音波検査ではFlap状でTunnel typeに近い形態の卵円孔開存(Tunnel長は7~11mm)で、大動脈側は<5mmだが土手状のrimを認めた。Valsalva手技下でコントラストエコーによる右左シャントが確認された。24mmのサイジングバルーンを用いたバルーンサイジングで、径11.5mmであり、11mmのAmplatzer septal occluderで閉鎖を行った。閉鎖の適応、デバイスの選択などに関してご意見を伺いたい。

【第4部】ちょっと変わった症例ですが!

Case 7「三心房心の大きな欠損孔に対して閉鎖し得た一例」

水谷 一輝(大阪市立大学病院)

症例は69歳の女性。ASD、chronic Afによる心不全コントロールが困難で、ASD閉鎖目的に当院へ紹介となった。経食道心エコーにおいて大動脈側かつ上方に位置する 25*20mmの二次孔欠損を認め、また右房内に隔壁を認め三心房心と診断された。欠損孔の辺縁はAortic rimからSuperior rimにかけて広範囲に欠損を認めた。本症例に対して経カテーテル的閉鎖術を施行し得たので、文献的考察と共に報告する。

Case 8「外科術後に残存するEustachian valveを有する下位静脈洞型心房中隔欠損症に対する経皮的 カテーテル治療:その治療戦略と注意点」

今井 逸雄(兵庫県立尼崎総合医療センター)
豊田 俊彬2、塩見 紘樹2、齋藤 成達2、木村 剛2 (2:京都大学医学部附属病院循環器内科)

症例:症例は63歳女性。19歳時にASDの外科手術を行っているが詳細は不明。慢性の心房細動を有しTIAの既往もある。1年前より労作時の呼吸苦が出現し心拡大もあり精査加療目的に当院に紹介。UCG上は32mmのASDを認め(Figure1 A)経皮的治療が可能と考えた。しかし、術中に再度確認したところ当初ASDと考えられた部位はIVCとeustachian valveの構造物で本来のASDは図の場所であった(Figure 1 B)。
静脈洞型、下位欠損のASDと考えられ把持力の強いAmplatzer deviceを留置することとした。36mm deviceがover sizeであり32mm deviceに変更し良好な位置に留置できた。
術後のCTではあたかもIVCとLAの間に留置されたような形態であったが(Figure 2)、特に留置形態も問題なく終了となっている。外科手術後の残存ASDで静脈洞型の下位欠損症例に対するカテーテル治療の成功例であり文献的考察も含めて報告する。

Figure 1

Figure 2

Case 9「Amplatzer Septal Occluder deviseに心房中隔穿刺を施行し、肺静脈隔離術を施行した一例」

中川 晃志(岡山大学)
森本 芳正、赤木 禎治、高谷 陽一、佃早 央莉、宮本 真和、
川田 哲史、渡邊 敦之、西井 伸洋、中村 一文、森田 宏、伊藤 浩

症例は30代男性。10年頃前より動悸発作を自覚し、近医を受診。心房中隔欠損症(ASD)と発作性心房粗細動 (PAF/AFL)を認めた。そのため、8年前にPAF/AFLに対して、両側肺静脈隔離術(PVI)と三尖弁下大静脈峡部の線状焼灼を施行した。PAF/AFLの再発は認められず、半年後にAmplatzer®によるASDカテーテル閉鎖術を施行した。経過は安定していたが、2年前頃より、PAFが再発し頻度が増加したため、PAFに対するカテーテルアブレーション目的で今回入院となった。左房へのカテーテル配置が必要であったが、ASDデバイス辺縁の穿刺は困難であった。そのため、Brockenbrough needleにてデバイス自体を穿刺し、穿刺孔を拡張することにより、左房にロングシースを配置することが可能となった。EPSでは、左上下肺静脈、右上肺静脈の再伝導を認め、PVIを施行した。Isoproterenol投与下でもAFは誘発されず、手技を終了とした。術後AFの再発無く経過している。Atrial Septal Occluder deviceに直接心房中隔穿刺をしてPVIを施行した報告は多くなく、興味深い1例と考え報告する。

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